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「どこから入る?」
「聖が決めろよ」
入口は全部で3つ。
軽く話し合った結果、行った事がないという理由で南門から入ることにきまった。
南門は正門から少し離れた林の中にひっそりとたたずむ扉だ。
まわりの奇妙さゆえ、子供たちもあまりその扉には近付こうとしない。
林の中はまったくといっていいほど月光を通さないため、数メートル先の景色もほとんどみることができないほど真っ暗だ。
「まってよ…先いかないでよっ」
「おそいぞまったくー…」
「麗斗が早すぎるんだよ!」
くだらない会話をしながら気を紛らわすうち、ようやく南門が見えてきた。
…あれ?
なにか…いる?
僕は立ち止まって目を細めた。
…やはりいる。
どうやら人のようだ。
真っ黒な服に身を包んだ人…
「ちょっとまって麗斗…」
僕は麗斗の肩を掴み立ち止まらせた。
「なんだよ?」
麗斗が怪訝そうにこっちをみた。
僕は黒い服を着た人を指差した。
「みて…あれ…」
「どうしたんだよ」
麗斗は必死で目をこらしているが気付いていないらしい。
結局麗斗が見つける前に、その人はどこかへ消えてしまった。
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