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駅にタクシーがやって来た。
「……どこまでだい?」
「一夕村役場まで、お願いします」
「はいよ~」
僕は行き先を告げると、お気に入りのバッグを横に置き、中年のおじさん運転手と雑談をした。
「君は一夕村に何の用で行くんだい?」
「僕、生まれは一夕村なんですよ。今は市内に住んでるんですが、じいちゃんの墓参りにでも行こうかと、両親に内緒で……」
「そうか、一夕村出身か。私もタクシー運転手という仕事柄、この辺りの事には詳しいつもりだ」
そんな感じで他愛のない話をしていると、タクシーは佐田町と一夕村の境付近まで来た。
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