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『そんじゃいってくるぞ』
『うん』
そういって少女は少年に向かって微笑んだ
少年もそれに答えるかのようにニカッと笑った
『気を付けて下さいね』
おうっ!と威勢よく少年は答え少女に安心させるかのように優しくくちづけた
そっと包みこむように
そうあれはまだ狂いだす前のこと
あの頃に戻りたい?と問われれば私はきっとうなづくだろう
あれはまだ狂いだしてもいなかったのだから
『お前の方こそ気を付けろよ』
特に葵とかには充分になと念を押すような口調でいいその大きな手で少女の頭を撫でてやる
『大丈夫ですよ馨』
少女時雨は心配してくれる馨に嬉しさを覚えながら少年馨を安心させるために優しくいった
時雨馨はずっと寄り添って生きてきた
馨が田舎を出て都会で夢だったバンドをやるといった時も時雨は一緒にいくと言い出し親達に散々反対されながらもがんとして譲らず先に折れた親達が渋々許してくれ一緒に出てきたのだ
時雨は馨にとっても大切な…愛すべき人
馨は時雨にとって愛すべき愛しい人
そう……
この時全ては狂いだした
いつから?
そんなの分からない
そんなの決まってる
全ては馨に着いてきた
ことからはじまっていたそしすでに決まっていたこと
時雨はそれに気付けなかった気付くことができなかった
それこそが最大の過ちにして罪
そして今回運悪く馨が一人で仕事の打ち合わせにいくことになったいつも二人でいっていたのに
そして二人にとっての悲しい罪
だから…だけど…
彼はそんな好機見逃したりはしなかった
いやそもそもこの状況を作りだしたのも彼に過ぎなかったのか
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