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…κμξυσ…
【空に舞う風の住人達よ我に呼応し戒めの刃となれ…】
「ウィンド!!」
呪文を詠唱したヴァルナの手から、緑色の光が収束しそれが一気に放たれると、目に見える小さな風の刃が燃えさかる神殿の支柱に吸い込まれ消えていく。
その瞬間、支柱に亀裂が走った。
大小異なる石の粒が砂のように神殿の床に振り注ぐ。
支柱は大きな地響きをあげだし崩れ、倒壊していくのだった。
支柱が落ち行く先には、漆黒の鎧に身を包む男がいるのだが、彼は避ける事もせず、ただ剣の刀身に集まる光の収束を続けていた。
その刀身からは、さらに禍々しくなった気と共に、膨大なまでに膨れ上がった、凄まじいエネルギーがほとばしっている
その隙に逃げようとしたヴァルナは、柱を失った事で崩れ行く天井を尻目に、支柱の裏に自らが作った穴から抜け出ようする。
必死に天馬を操りながら、上から降り注ぐ落下物をかわし、出口へと辿り付くのだが…
「な、何!?姫様!!?きゃぁ!!」
突然の轟音が響きわたり、ヴァルナは何かに気づいたように後ろを振り向く。
彼女の視線の先には、仮面の男の大剣から放たれた黒い衝撃波が、支柱を突き破り後ろでしがみつくアティアに襲い掛かろうとしているのが見えた。
それを庇うため、彼女は目にも止まらぬ手綱さばきでペガサスを操り、その衝撃波の着弾地点をアティアから自分の方に向けるよう体勢を傾ける。
衝撃波は発動地点から遠かった為か威力は小さかったものの、それでも一人の人間を瀕死状態に追いやるだけの力は充分にあった。
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