~プロローグ~

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やがて、操舵手のいなくなった天馬は、バランスが保てなくなったのか闇夜の空へと消えていく。 そしてアティアもまた、衝撃に巻き込まれてしまったのか、意識が遠のいていく そんな中、仮面の男の声だけが、眠っていく彼女の耳へと鮮明に響く。 「…私を追いたければ、隣国のオルデイン公国に潜む、ー夕闇の断罪者ー達を探してみなさい。皇女よ…。」 薄れゆく意識の中で、彼女の耳にはその言葉が、はっきりと残っていた…。 オルデイン公国の… 夕闇の断罪者… 「…ふっ。…あどけない顔をしていましたが…、してやられましたね。」 一人取り残された、漆黒の鎧を纏う仮面の男は祭壇の前にいた。 祭壇には、彼の探し求めていたものはなかった。 「ドルヴァ。」 仮面の男は囁くように呟く。 「…はい。」 するとどこからともなく、漆黒のローブに身を包んだ老人が、男の目の前に現れ床にひざまづいている。 そして… 「…ソーマ。」 男はさらに呟いた。 「ここに…。」 ひざまづくドルヴァと呼ばれた老人の横に、今度は漆黒の剣士服を纏った女が現れ、仮面の男に敬意を表するよう胸に手を当て、顔を俯かせている。 「ドルヴァ…。そなたにはこの国の今後の執り行いを任せたい。そして…」 剣先をドルヴァと呼ばれる老人に向け、そう言った後、男はさらにその大剣の剣先を、自らがソーマと呼ぶ女にも向けた。 「ソーマ、貴女は2人を追い、オルデイン公国に赴いて見事、オーブを奪い取って見せてください。手段はいといません…。それと、わかってはいると思いますが、あの話は今もなお進行中です。それを忘れなきよう…。」 「はは!!」 「御意に。」 仮面の男の命に2人は答え、仮面の男に一礼するとまた一瞬で何処かへと消えさってまった。 するとどこからともなく。鐘が鳴りはじめた。 あれほど燃え盛っていた紅蓮の炎も今では、燃えるものが無くなったせいか、小さな火が点々と残されているだけだった。 酷く荒廃した神殿内にもその鐘の音は、小さく鳴り響いている。 男は口元を釣り上げ笑みを浮かべ、神殿内に開いた大きな穴から夜空を眺め、静かに呟く。 「夜明け、か…。ふふふ…。」 男はふと、自らの仮面をとりはずし、歓喜の表情しながら言った。 「…今宵もまた、我の眼に映るは鮮血に染りし暁の月…。[始まりの鐘]は鳴った…。さあ、戦乱の世の始まりだ!!!」
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