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第一部 ~それぞれの旅立ち~編
大陸暦1500年
ガルラド大陸は表面上、五つの大国に分かれていた。
大陸北部に位置するのは、大陸で最も強大な軍隊を擁し、広域に渡って勢力を伸ばしている軍事国家、ラガル帝国。
大陸東部から東南部にかけて多数の諸国が点在し、1つの連邦国家として樹立するミストア連合諸国。
大陸南部には、小さい領土ではあるものの、海運や商業が盛んな事により、国力に富んだエマオス王国。
大陸西部一帯に領土を抱え、ガルラド大陸唯一の宗教国家として君臨するカミラ聖教国。
そして最後に、中南部に位置するのは、かつて1つの大公国であり、現在では複数の諸侯が群雄割拠するオルデイン公国がある。
各国はあの忌まわしい大戦乱
~神々の黄昏~以降、国同士での小競り合いや小規模な内乱こそあったが、ある時を境にそれらは一切無くなっていった。
なぜなら、十数年前程からこの大陸で、魔物が出没するようになり、各国はその対応に追われ、他国へ干渉する余裕などなかったのだ。
そんな中、大陸随一の軍事力を誇るラガル帝国の皇帝が、各国へある書状を送る。
【十数年来よりこの大陸に現れ、我等[人]を脅かす共通の敵、‘魔物’を討伐せんが為有志を集う。大陸繁栄の為、貴国の協力を是が非にでも仰ぎたい】
この書面を受けた各国の王や長はすぐさま、魔物討伐の為の軍隊を編成、討伐同盟盟主国であるラガル帝国へと自らの所有する兵を向かわせたのであった。
かくして、大陸史上二度目となる、人が織り成す大兵団は徐々に結集され、戦いの狼煙は上げられていく・・・
・・・季節は初春。草花が芽吹くにはまだ早く、冷たい風が吹く頃だった。
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