第1章第1節~小国の王子~

2/19
前へ
/142ページ
次へ
…起きて… …早く、起きて… (…誰?) ……闇が迫っています… (……闇…?) 起きて!!!!!!! (君は…一体誰なんだ…?) 私は…… 「…ドウェン様!!……て下さい!!!!リドウェン様!!!!」 「…んっ…デュ…ラン?…おはよう。」 まだ眠気が覚めきっていないのか、意識を朦朧とさせた蒼髪の少年が、豪奢な飾りつけが施されたベットの上にいた。 夢の世界で目覚める事を促され、そして現世でもまた同様にして、それを要求された少年の傍らには、黄金色を帯びた毛髪、澄んだ蒼い瞳を持った青年が呆れ顔で立っている。 「おはよう、などと悠長な事を申している場合ではありません…。ディース様が遠征軍を率いてご出陣されます。」 「えっ…何だって!?…分かった、直ぐに準備して行くよ!!」 「くれぐれもお早く…リドウェン様…。」 そう一言、忠告にも似た言葉を言い残し、金髪の青年デュランは部屋を後にする。 部屋は人一人が使うにはあまりにも広く、この部屋の主であるリドウェンのベットから出口までは、何度も歩を進ませなければならない。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加