第1章第1節~小国の王子~

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「三番隊!!!!整列!!!!」 平地が広大に広がるエマオス城周辺。 元より存在していたこの大地を幾重にも叩く事で、地盤を固め舗装した道。 そしてそれらの道に沿って切り分けられた、等間隔に立ち並ぶ木々達。 その道の終点。つまり城門前広場には、鎧を纏った騎士や、警護にあたる兵達がおびただしい数を成し、その広場を埋め尽くしていた。 更にその周りには、無数の民衆が群れを為すかのように集まっている。彼等の勇姿を一目見ようと。 その数は、この地に集結しるエマオス軍の数をゆうに上回っていた。 激励や声援が入り交じる恐ろしいほどの喧騒。 その中で各隊の騎士隊長らが統制を取るため、民衆の声援に掻き消されないよう張り裂けんばかりの声で、己が擁する騎士達に指示を出す。 騎士達もその声に答えるかのようにして、それぞれの立ち位置につこうと機敏に忙しく動きひしめあっていた。 リドウェンはその様子を、ディースとその他従者と共に城壁の上から展望している。 「凄い数の兵だね…、それに国民も。」 「はい。兵は我らがエマオス王国の王宮騎士団全騎士、及び王国軍全兵。そして民衆は各地域から、国のおよそ半分以上の民が見に来ておられます。」 デュランは自らの見聞を淡々と語りだした。 「露店も出ているようだ、まるでお祭り気分だね。」 リドウェンはとても楽しそうな周囲の雰囲気に、嬉しそうにしているのだが… 「不謹慎ですね。祝い事だとでも思っているんでしょうか…。これからあの者達は、魔物という恐ろしい存在と対峙し、数多くの血を流しに行くというのに…。」 「…不謹慎だったね…僕…。」 デュランのあまりにも冷たい物言いに、リドウェンは萎縮してしまい、ふいに肩を落としてしまう。 そんな彼を見てデュランは血相変えた。
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