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「はっ、申し訳ありません!!」
そう、ケイトは女性でありながらも、その若さにしてエマオス王国軍副指揮官の地位についていた。
「わかれば、よし。しかしながら…。その挑発にも、たまには乗ってみるのも一興だ。ケイトよ、上官に対し無礼な発言をする愚か者に少しばかり、お灸を据えてみてはどうだ?」
「デュラン指揮官~それはないですよ~。」
「こいつ…。私であればまだしも、尊ぶべき御仁であられる指揮官殿にまでそのような言い回しを……許さん。剣を抜け、エマオス王国軍副指揮官ケイトの名において、お前を粛清する!!」
そう言い放ちケイトは再び鞘から剣を抜く。
しかしそれを止めようとある男がケイトとカイム、両者の前に現れた。
「はいはい、お二人さん。真剣はやばいからこっちでやってな。」
周囲でこの2人のやり取りを見ていた重厚な鎧を着た青年が、訓練用の槍と剣を持ちながら近づいてくる。
「カイムにはこれ…、ケイトはこれね…。デュランさん!!これでいいんだよね?」
「さすがだなロスタム。上出来だ。」
「へへ、どうも、…おいトレイス~!!お前もこっちに来て二人の決闘見たらどうだ!?まあ結果はわかりきってるけどなぁ~はっはっはっ!!!」
大口を開けて笑う重歩兵ロスタム。
元はエマオス王宮騎士団に属し、デュランとは旧知の仲だった彼。しかし今はこの王国軍に身を寄せている。
そして彼の後方では同王国軍の弓兵である、トレイスという名の青年が弓を引き、的に矢を射ようとしている。
「…くだらない。」
と、冷たくあしらわれてしまうロスタムであったがいつもの事だというような態度で、素知らぬ顔をしながら笑顔でケイト、カイムの両者の戦いを今か今かと待ちわびていた。
「ふっ…、まぁいいだろう。2人とも…、やるんだろう?」
デュランの言葉に両者は…
「はい。」
「…当たり前ですよ。もう引っ込みがつかないようだし…俺にもプライドがあるんでね。数少ないチャンスをくれた事に感謝しますよ。デュラン指揮官!!」
「そうか…。ならもう止める必要も無い。思うように戦うといい……ケイト、わかっているな?もし負けたりでもしたらー…」
「私は負けません。」
あれほど礼儀に固執していた彼女が、デュランの言葉を遮るようにして言った。
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