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慌てながら横の二人に目を向けるとデュランとトレイスは既に、膝を折り頭を下げていた。
二人を交互に見たロスタムは現状をやっとの事で把握し、すぐさま体勢を整えひざまづく。
「申し訳ありません!!リドウェン王子!!」
「え?何が?それよりほら!!」
リドウェンはひざまづく三人の頭を上げさせ、遠くを指差した。
「はっ…………!?」
三人は振り返る。
とてつもない速さで軍馬を駆けらせ、擦れ違いざまに相手を切りつけ雌雄を決する、という古来よりの戦い方を取った二人。
一撃必至を物語る両者の突撃の第1巡目は、既に過ぎており、二人の立ち位置が逆になっている。
両者は再び軍馬を駆けらせようとしているのがすぐさまわかった。
ロスタムは身の危険を感じて直ぐに身構え、それに備える。
「はぁはぁはぁ…次で…終わらせる…。」
余程の精神力を要するのか、つい先程まで余裕の表情をしていたカイムに疲れが見えた。
「…くっ、あれを使わなきゃいけないなんて……。私もまだまだ…か…。」
ケイトは何かを決意し剣を構え、そして軍馬をかけらせる。
それに呼応するかのようにしてカイムも発つ。
「…ケイトが勝つよ。」
「え?何故ですか!?」
ロスタムは、未来を見据えた物の言い様で結末を予見したリドウェンに驚きを隠せない。
「ケイトは……【あれ】をやるつもりだ。カイムはそれをまだ知ってはいない…。」
「……【あれ】?」
トレイスも興味を示した様子。
「……見ろ!!」
デュランは突如、大きな声を張り上げ勇猛に闘う両雄に目を向ける事を促す。
「おらあぁぁ!!!…なっ!?」
迫り来るケイトを迎撃するためにカイムは長身の棒を腕ごと引いた。相手を突き、尚且つ貫こうと。
しかしその刹那、疲れがピークに達したのか、ケイトがバランスを失って体勢を崩し、軍馬から転落しそうになるのだが…
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