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香野は手紙を読み終えると強張った顔になる。なんとも言えない感情が込み上げてくる。
香野はまたコ―ヒ―に手をつける。そして深呼吸をする。息を吐き終えると香野は落ち着きを取り戻していた。
香野は手紙の内容を頭の中で整理しながら推理した。
“隠されし真実”それは私も一度は聞いた事のある名画の名前だ。ファントムの手紙にあるとおり、今はあの美術館に展示されているはずだ。
何かふに落ちない。手紙の内容から察するにファントムは14年前の対決の続きがしたいらしいが、はたして本当にそれだけだろうか?もしかしたら14年前の美術館爆破事件に何か関係があるのかもしれない。そう考えればファントムが再び美術館を狙う理由もなんとなく分かる気がする。
香野はそこまで頭の中で考えるとクスッと笑った。そして誰に言うわけでもなく言った。
「いいでしょう。今回は貴方の策に乗る事にしますよ。ですが隠されし真実は絶対に渡しませんよ。対決には負けるわけにはいきませんからね。名探偵南の意志をつぐ私が貴方を必ずとめて見せましょう」
そう言ってまたクスッと笑った。
香野はソファーから立ち上がり窓際に行った。暖かく爽やかな風を全身に浴びる。目をつぶり深呼吸をする。
「よしっ!」
自分に気合いを入れるようにそう言うと香野は行動を開始した。
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