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そんな人だかりを横目に通り過ぎながら蓮は「馬鹿馬鹿しい」と心の中で思う。
勿論、魔術師という存在に興味がないわけではなかった。
だがそれはただの絵空事と思えてならなかったのである。
こんな小さな町に、そんな凄い魔術師が来るとは到底思えないからだ。
当然のことながら、それは心の中で考えていることで。
こんなに活気に溢れている人たちの前でその考えを口に出してなんて言えるわけがない。
その時、少し離れた所から歓声に似た声が聞こえてきた。
何かが起こったのかと思ったが、悲鳴ではない。
むしろ、歓喜の声。
もしかしたら噂の魔術師かもしれない。
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