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「この町に、天才が来るんだってよ」
噂にも似た真実みのない情報を、誰かが大声で話している。
「天才って、何をした人なの?」
その言葉に不思議そうに誰かが問う。
「魔術師! 魔法使いだよ。凄いらしいよ?」
どこで仕入れた情報なのかは分からないが、声の主は得意気に話している。
そして行き交う人々は、興味深そうにその話に聞き入っていた。
徐々にそこは人だかりになり、誰彼ともなくその声の主に質問を投げ掛ける始末だ。
例えばそれが真実か否かなんてまるで関係ないとでも言うように、町の人々は活気づく。
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