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(希紗Side)
今日,家に弟の家庭教師として1人の男がうちに来る。
こいつが来るとわかってたなら,
たとえ面倒臭くたって絶対私が引き受けてた。
それくらいアイツとは会いたくなかったのに…………。
あれは思い出したくない過去の話
もう終わった事。
ピンポーン……
玄関のチャイムが鳴る。
誰が来たかわかるから開けたくない……
そんな気持ちでいっぱいで,
恐る恐る開けたそのドアから
「よ……よぉ。」
ぎこちなく出て来た洋平。
大好きだった洋平。
でも今はもう顔も見たくない……。
「教えるの…希紗の弟だったんだな……。」
『………。』
私は話す気もなかったから
『コンニチハ。』
と心なく返事をした。
「……………あはは!!それ社交辞令?」
冷たく言い放ったのに
洋平は笑い返す
なんでそんなに普通でいられるの?
昔と変わらない
その笑顔が
余計に苛立つ………
『………本当は私が教えても良いんだけど………頼んだ後だし,しょうがないからちゃんと勉強させてね??』
家庭教師が洋平だって事に気がついたのは
ほんとに最近で,
やめさせるには遅すぎた。
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