夢…

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気がつけば、少女は村に居た… 燃え盛り村人の悲鳴や魔法詠唱の声… そして、何かの鳴き声が響く村に… 家族を捜そうと、村人の悲鳴等に遮られながらも、小さな体で必死に叫ぶ… 「お父さーん!お母さーん!お兄ちゃ…」 少女の呼びかけを遮るかのように、聞き慣れた男の声が聞こえた… 「お父さん!?」 気がつけば少女は、声のした方へと逃げる村人の合間を縫うように走り出していた… 自分の身の危険など考えもせず… 「あなた!あなたー!!」 「父さん!!」 女と一人の青年は、地面に転がる引き裂かれた男に、縋るように泣きつき呼び掛けていた 「死体に呼び掛けてやがるぜ! 馬鹿な人間共が!」 「本当馬鹿な生き物だぜっ! そうだとお思いでしょ魔王様」 女と青年から少し離れた場所に、魔王と呼ばれた人のような姿をした魔物は居た。 男を殺した見るからに知能の低くそうな二匹の魔物に話し掛けられ、不愉快そうな表情を浮かべているのが見て取れる。 「…最下層の者が軽々しく魔王様に話しかけるな! それとも… そんなに死に急ぎ…」 「確かに人間とは愚かな生き物だな…」 側近と思われる魔物の言葉を遮るように、魔王は話し始めた。
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