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その夜。ここは、いつもの南道の研究室。
「セットガンナーの皆はんに採取してきてもろたこのリザロの舌のサンプルを調べてみたんやけど…」
「なんか分かったか?」
「少しは。まず、あの舌が完全回復するまであと三日。いや、もうあと2日かも。」
「そんな…。」
「驚異の再生能力や。でも、もう大丈夫!」
南道は近くにあったなんの変鉄もない棚に、腕につけていた装置を近づけた。
ピーっと音が鳴り、棚が自動で開く。
中には小さな銀色の銃が。
「これは?」
南道は銃を手に取ると、愛しそうにほおずりした。
南道の横の椅子に座っていた緑が、少し顔を赤くしてゴクリと唾をのんだ。
「それは?」
顔をひきつらせながら滋賀が聞く。
「ガモスリターンを覚えたはりますか?」
「あぁ。忘れるわけねぇ。」
滋賀は、キックが効かなかったこと、ぼこぼこに殴られたことを思いだして拳を握った。
「あの硬い鎧を余裕で貫通できる武器ができたとしたら?」
「なにっ!」
「計算上はガモスリターンの鎧の1,5倍の堅さの物までなら貫通可能。…リザロの強度は分かりまへんけど、多分大丈夫!」
「…そうか」
「…なんかあったんでっか?」
「…なぁ、南道。お前はなんで生きてるんだ?生きるって、なんなんだ?」
「なっ、なんや急に」
「ちょっと知り合いに聞かれてよぉ。…答えらんなかったんだわ。」
「そうやったんでっか…。うん。難しい問題でんな。人類の永遠の問い。」
「で?どうなんだ?」
南道は、さっきの銃を優しく撫でた。
「わいは、コレ…かな?」
「は?」
「…ま、解らんなら仕方ない。…ピンピンしたはるけど、一応まだ入院中なんやろ?」
今夜滋賀は病院をこっそり抜け出して来たのだ。
「…わーったよ。」
研究室を後にする滋賀。
扉を閉める寸前、緑の(私の生き甲斐は、南道さまぁ~ん)っという甘ったるい声が聞こえた。
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