三拍子揃い踏みの少女

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「はは、冗談きついぞ源三さん」  俺は鳥取砂丘より乾いた笑いで受話器の向こう側にいるヤツの言葉を拒否する。 『ところがどっこい、現実は非情である』  相手は相変わらずのしわがれてるくせにやけに張りのある声で俺の言葉を否定。 「なんだってこんな時に………」  放浪してんだよ、この野郎っ!  思わず受話器を握る手に力が入る。 『二号店開店が間近に迫ってる大事な時期だ、店長としてのプレッシャーもあるだろうが頑張ってくれ』 「えぇい! その大事な時期に放浪し始めた総店長はどこのどいつだ!!」 『なんだ、そんなにわしの顔が見たいのか? 言っとくが、ノンケだぞ』  こいつ………ゲシュタルト崩壊へ導いてくれようかっ!! ※ゲシュタルト崩壊  同じ漢字ばかり書き続けてると、正しい漢字なのにも関わらず違うんじゃねぇのと疑いだす現象。
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