序章

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昔から、人の顔色ばかり気にして生きてきた。 幼稚園の送迎バスの中では、昨日あったテレビアニメの話題で盛り上がる。 あたしの家では夕食時にテレビを見てはいけない決まりだったので、あたしは話題についていけない。 でもそんな時も、知ってるフリをした。 一言、「見てない」と言えば仲間外れの対象にされる気がした。それほどあたしは小心者だった。 小学校にあがっても、相変わらず他人の顔色ばかりうかがった。 親戚が集まる結婚式や葬式では【いい娘】に見られたくて、親戚の伯母さんが洗い物をしてれば手伝い、わけのわからない方言を伯父に言われても、空気を読んで笑顔で受け答えた。
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