第二章

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湿った空気。 カビの匂い。 わずかに太陽の光が射し込んでいるだけの暗いこの部屋で、少年は目を覚ました。 「ん…っどこだここ…? 気味がわりぃ」 そう言って辺りを見渡そうと身体を起こした瞬間、少年の背中に激痛がはしった。 「…って…そうだった…」 少年は、先刻あった悲劇を思い出し、やっと自分のおかれている状況を把握した。 (そうか…ここは牢獄なんだ…罪を犯した者が閉じ込められる…) いかにもと言わんばかりの、不気味な牢獄。 (脱出する方法はないのか…) 少年はありとあらゆる考えを頭の中にはりめぐらせた。 「あの窓…」 手を伸ばしても到底届きそうにないところにある小さな窓に、少年は決意の目を向けた。
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