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ふんふん♪と鼻歌を口ずさみながら、黒い服を纏い、赤茶がかった髪の毛を風になびかせ、真紅の瞳を持った青年は、夕飯のメニューを考えながらスーパーまでの道のりを呑気に歩いていた。
「今日は寒いからシチューにしようかな
でもホワイトとビーフ
どっちが…」
そんな青年の考えを邪魔するように、突然5、6人のサングラスをかけた男達が、目の前に立ちはだかった
「探したぜ~萱島 紘!
今日こそはまじで逃がさねえ!!」
男達のリーダーであろう男は、殺気を剥き出しにして紘に暴言を浴びせた。
周りに居た人間は、見ぬふりをしてその場から足早に立ち去る。
「…ねぇ
ちょっと黙っててくんない?
今考えゴトしてるんだから」
そう言って紘は、男達の存在など気にも留めずにまた歩き出そうとする。
「…っざけんなよ!
このまま通すと…」
男は紘の肩をつかんだ。
すると、紘の足がピタリと止まる。
「ねぇ
俺黙っててって言わなかったっけ?
つかおたくら誰?」
「…っ」
紘に睨まれ、男達は金縛りにでもあったかのように、そこから動けなくなった。
(何だ…この冷たい眼は
…こいつ尋常じゃない…!)
張りつめた空気が、その場を支配した。
「俺、買い出し行かなきゃだから。
じゃあねん♪」
ひらひらと手を振って、鼻歌を口ずさみながら紘はまた歩き出した。
「…っ舐めんなぁ!!」
そう言って、一人の男がナイフを手にかざし、紘に背後から襲いかかろうとする。
「だぁーかぁーらぁー
考えゴトの邪魔すんなって」
そう言うと、紘は素早く後ろを向き、襲いかかってきた男の手首をつかみギリギリと締め付けた。
「…っ」
男は、紘の手首をつかむ力に耐えられずに、ナイフを手から落とした。
「何?
そんなに俺と遊びたいの??」
この男…一見笑っているように見えるが、眼は笑ってなどいない。
男は息がつまった。
「…なーんてね
俺ヒマじゃないから、君らの相手してる余裕なんてないの♪
…だから俺の気が変わらないうちに早く立ち去ってくんないかなあ?」
柔らかな言葉とは裏腹に、背筋も凍るような冷たい声。
「お…っおい…行くぞっ」
そう言って、男達は逃げるようにしてその場を走り去っていった。
「あ…雪」
白い結晶が、手のひらに落ちて消えていく。
「今日はホワイトだな~」
そう言って、紘はまたスーパーまでの道を歩き出した。
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