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銀次は繁華街に来ていた。どんなとこにも賑やかな場所がある。
人混みをかき分け、一軒の遊郭の前で立ち止まり、あたりをうかがい、中に入っていった。
「いらっしゃいませ」
中で女将が銀次を迎えた。
「主人を出してくれ」
「なんのご用でしょうか?」
「あんたには関係ない。主人に『銀次が来た』と伝えてくれ」
「あんたね~。物事には頼み方があるのよ」
店の入り口で女将が怒鳴りだし、客たちが面白そうに事の成り行きを見守っている。
「なにをしている」
中から左目に傷をもった威圧的な男がでてきた。
「あ、旦那様。この男が礼儀を・・・」
主人が女将と言い争っていた客の顔を見る。
その男が銀次の顔を見た瞬間、威圧的な雰囲気が消え、縮こまってしまった。
「銀次さん!?」
「久しぶり。醍醐さん」
「どうしてここに?」
「ちょっと頼みたい事があってな」
「そうですか。なら・・・」
醍醐は銀次を店の中に招き入れた。
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