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刹那は鞘から抜かれ、その刀身が露わになった。刃は波をえがき、輝きを放っていた。
「こいつは・・・」
銀次は言葉を失った。この美しい刀に魅力されていた。
「どうです?」
「あぁすごいな。使うのがもったいないな」
「『刀は持ち主を選ぶ』とオレは師範にいわれました。あの時はさっぱり分かりませんでした。しかし、コイツを手に入れて、いざ抜いてみて分かりましたよ。『オレにはコイツを使いこなせない』ってね」
「オレにも使いこなせるか分からん」
「銀次さん・・・」
銀次は刹那を鞘におさめる。
「使いこなせるか分からんが使わせてくれ」
銀次が頭を下げる。
その行為に対して醍醐は少々焦っているようであった。
「銀次さん。刹那を頼みます」
醍醐は刹那を銀次に差し出した。
銀次は醍醐の目を見たまま刹那を受け取った。
「銀次さん、一杯どうですか?」
醍醐の手には酒と杯が握られていた。
刹那を腰に差し、杯を受け取る。
「いただくよ」
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