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「でも、わたし達だけだね。他の皆はまだ来てないのかな……」
ぴたりと笑いを止めた優香ちゃんが、ぼそりと呟く。
さすがは女子ソフトテニス部の部長、上沢 優香。
部活のことになれば敏感だった。
最初に言った通りわたし達は今、学校のテニスコートに来ている。
何故かと言うと、今日の部活は男女自由参加の基本的に自主的な内容の部活動だったから。
コーチは疎か、部活顧問の小崎(オザキ)先生も来るかどうかが怪しい、本当に自由な練習日なのだ。
まとめ役は男女それぞれの部長が主となり、適当に練習メニューをこなしていく。
……何度も言うが、自由参加なだけに、支離滅裂な部活になるに違いない。
「……とりあえず、自由なんだから適当に打ち合いでもするか?」
自転車を停めながら香奈が提案をする。
そうだねと言う優香ちゃんは、自転車に鍵を掛けていた。
歩きだせば、今度は三人の足音が地面を鳴らす。
さっきまでの寂しさみたいなものが、一気に消えていったようだった。
……あ。
ちゃんと紹介してなかったけど、見て分かる通り、わたし達は同じソフトテニス部に所属している同級生です。
ちょっと前まではもう一人、仲の良い子がいたんだけど……その子については、また別の機会に。
「お願いしまーす」
ラケットを構えた優香ちゃんが、大きな声で香奈に挨拶をする。
任せとけーっと反対側に居た香奈は、ラケットをぶんぶん振って答える。
そしてわたしは一先ず観覧者に。
それからぐるぐるとローテーションをしたりして、時間を過ごしていた。
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