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……いつの間にか、少なかった人数が段々と増えていき、知らない間に男子ソフトテニス部の部員も居た。
(……居ない、のかな?)
最初よりずっと狭くなったコートの中で、一人ある人物を捜す。
これだけの人が来たのだから、あの人が居てもおかしくない……と思ったのに。
ぐるりと辺りを見渡しても、もう一度見回しても、その人影は見当たらなかった。
……どうやら、本当に来ていないみたい。
「明ー?どうかしたー?」
「……ううん、何でもないよー!!」
向かい側に居た香奈に、大きな声で声を掛けられて意識が戻る。
それを確認した香奈が頷き、ラリーを再開しようと一球打ち込んできた。
正確にわたしの元に飛んできたボールを取るのは、全く苦にならなかった。
……あとどれくらい、こうした時間が過ごせるのだろう。
ナイスボール、と声を出しながらふと考えさせられた。
気が付けば、わたし達は中学三年生。
初めてこの学校の校門を潜った時のことが、随分と昔に思える年――そんなに老けたつもりはないが――になったのだ。
あと少ししたら、こうして部活にも励めなくなるだろう。
そしてそれからまた少ししたら、こうして皆に会う機会も減ってしまうのだろう。
皆、それぞれの道を選び始めるのだから……。
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