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「香奈ー、疲れたー!!休憩しようよー」
「まだ始めたばっかりだろ?調子に乗るな……」
よ、と言いながら、香奈の渾身の力が込められたサーブが、わたしに襲い掛かってきた。
短い悲鳴を上げながら、何とかボールを返すものの、それはへなへなと力がなく、向こう側のコートに行くことはなかった。
「ごめん、ごめん!!もう一回!!」
顔の前で手を合わせながら謝ったけど、呆れ顔の香奈がそれで許してくれたかどうかは分からない。
……もう一回。
今なら、今しかないけど、わたしには……わたし達にはやり直しができる時だ。
それは何に対しても、だ。
残り少ない時間の中で、やり残したことがないように……後悔だけはしないように。
つい数ヵ月前に再び生まれた決意は、こんなにも強いのか。
(もう一度……向き合いたいから)
「行くよー!!」
誓いの言葉と共に打ち込まれたボールは、いつもよりずっと力強く見えた。
まるで、わたしの意志がそのままボールに乗り移ったように……。
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