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三月中旬、午後四時、公立高校の一般入試合格発表が一斉に行われた。
その瞬間、喜びの声が爆発音のように聞こえてくる。
その場で友と喜び合う者もいれば、その場を逃げるように立ち去る者もいる。
僕はその場を立ち去った。
県内一位の進学校、秋田県立聖筒高等学校に合格していたのだ。
携帯電話で数人から合格したというメールが届いていた。
僕が合格することは皆が知っていることなので知らせないことにした。
「お~い、翔。俺も合格したよ」
聞き慣れた声がした。
その声の主は中学で同じクラスだった小松健だった。
「置いていくなよ、俺と一緒に見に来たんだろう」
「ごめん、忘れてた。ちょっと嬉しかったからさ」
「翔は自己採点で満点だったからその時点で合格決まってたのにな。天才は凄いよな」
健はそう言い、眼鏡を外した。
これはこいつなりに考えた最高の格好良く見える動作だ。
「帰るか」
僕はそう言い、健と帰った。
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