勝者と敗者

2/11
前へ
/134ページ
次へ
「止め」 試験官のその言葉で全員が手を止めた。 聖筒はこの地域の他の公立高校と違い、定期テストが五回行われる。 その最初のテストが五月中旬に行われた。 僕にとってこのテストは他の人と違い、プレッシャーが掛かっていた。 前回のテストでは全体で一位、今回も一位を取らなければいけない。 周囲にはそんなの当たり前という目で見られていた。 そのテストの全日程が終了した。 周囲にはテストの日程が終わった事に喜んでいる者も居れば、別の意味で終わった人も居た。 僕にはその二つは当てはまらなかった。 出題された問題は全て解いた。 全ての教科が、満点である可能性は低い。 ほんのわずか減点されているだろう。 つまり、僕の場合は出来が良くて喜んでいる。 恐らく、このクラスでその事で喜んでいる奴は僕ともう一人くらいだろう。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加