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ふと、大学に入ってから気付いた事があった。
大学の講義やバイト、或いは友人との約束もない休日というのは、案外と暇なものである。
高校時代は部活や塾などで時間を取られることが多かったからか、それは余計に感じることだった。
最近では、それにかこつけて昼前まで寝る堕落ぶりを見せている。
そんな偶の休日、私は散々読み返した小説を読んでいた。
ぱらぱらと何気なく頁を捲り、
「展開は当然知っているし、飽きてきたなあ」
などと欠伸を噛み殺していると、なにやら視界の隅っこで黒い物体が動いているのに気付いた。
襖に張り付いているようなのだが、それが妙な動き方で、少し動いては止まり、また動き始めるといった虫のような奴だった。
心なしか、その黒い物体の周囲が蠢いているようにも見える。
だが正直な話、虫とは考えたくない。
ゴキブリ等ならば、どんなに綺麗な家庭にも居るものだが、さすがにここまで堂々としていないだろう。
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