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慌てて譲ろうとすると、「ちょっと、こっち‥」と、腕を掴まれて事務所から連れ出される。
この時間、廊下には、めったに人は出てこない。
でも、今にも誰かが出てくるかもしれないと、ヒヤヒヤしてしまう。
「‥なんでしょう?」
最近は、なにもないとはいえ、一度は愛し合ったことがある相手だけに、やましい気持ちに苛まれる。
「今度は、そういう趣味にはしったのか。」
掴まれた手。
ブラウスの袖口から、手首がのぞいていた。
「‥!」
とっさに、伊藤サンの手を振りほどき、背を向ける。
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