タイイクカン

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「健太!」 「なんだよ?」 「気をつけろよ」  そう言って、にやりと笑った紀人に健太は首を傾げた。周りの者達は紀人の言いたいことに気付いたのかニヤニヤと笑っている。 「何にだよ、意味わかんねえから」 「なんだよ、お前知らねーの?」 「え?」 「体育館にも一つあんじゃん、七不思議」  そう言った紀人に健太は顔を強ばらせた。健太の様子が変わったことに五人は気付くと、からかうように笑い声をあげた。 「なーにビビった顔してんだよ」 「ダセー!」 「う、うるせーよ!!」  ゲラゲラと笑う五人の友人達に健太は顔を赤くして、ムキになって声を荒げた。これ以上相手にしてもからかわれるだけだと思うと、健太は五人に背を向けて、足を進めた。 「なんかあったら叫べよー!」 「助けに行ってやるからなー健チャーン!」 「うるせえ!! 誰が叫ぶかよ!!」
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