1055人が本棚に入れています
本棚に追加
廊下の突き当たりまで来た由貴と竜の二人は、下へと続く階段に足を踏み出した。廊下とは違い、先が、見えない。薄暗いその場所を二人は吸い込まれる様に下っていった。
ゆっくりとした二つの足音が延々と続く。
ぽたり、ぽたりと遠くから聞こえる水音がやけに雰囲気を醸し出していた。
由貴は手すりに手を掛けながら、視線を足元にある段差から隣にいる竜へと向けると、ヘラヘラとぎこちなく笑いながら、話しかけた。
「竜ちん、ちょっと質問タイムよろし?」
「なんだよ」
「僕らが元気よく通う桜ヶ丘高校は何階建てでしょーか?」
「四階」
「ピンポーン! 大正解! さて、そこで問題です、僕らは今、何階分の階段を降りたでしょーか?」
「七、八階ぐらいじゃねえの」
「僕もそのくらいだと思います」
「…………」
「…………」
由貴と竜は足を止めた。由貴は視線を一度下げた後、上に向けると誰もいない場所に裏拳を入れた。空振り。
「高層ビルか!」
「八階で高層はねえだろ」
「そういう問題じゃねええええーー!!」
竜の的確なツッコミに由貴はさらにつっこんだ。
最初のコメントを投稿しよう!