ニガサナイ

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 廊下の突き当たりまで来た由貴と竜の二人は、下へと続く階段に足を踏み出した。廊下とは違い、先が、見えない。薄暗いその場所を二人は吸い込まれる様に下っていった。  ゆっくりとした二つの足音が延々と続く。  ぽたり、ぽたりと遠くから聞こえる水音がやけに雰囲気を醸し出していた。  由貴は手すりに手を掛けながら、視線を足元にある段差から隣にいる竜へと向けると、ヘラヘラとぎこちなく笑いながら、話しかけた。 「竜ちん、ちょっと質問タイムよろし?」 「なんだよ」 「僕らが元気よく通う桜ヶ丘高校は何階建てでしょーか?」 「四階」 「ピンポーン! 大正解! さて、そこで問題です、僕らは今、何階分の階段を降りたでしょーか?」 「七、八階ぐらいじゃねえの」 「僕もそのくらいだと思います」 「…………」 「…………」  由貴と竜は足を止めた。由貴は視線を一度下げた後、上に向けると誰もいない場所に裏拳を入れた。空振り。 「高層ビルか!」 「八階で高層はねえだろ」 「そういう問題じゃねええええーー!!」  竜の的確なツッコミに由貴はさらにつっこんだ。
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