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カメ
奈良県と県境の三重県の山の中で育った『ゆうちゃん』は、好奇心旺盛な心優しい少年だった。
生き物が好きで小さい頃は図鑑ばかり見ていた。
幸いにも回りは大自然だった。
しかしゆうちゃんの生き物好きは愛情ではない。
生命の神秘を単純に不思議に思う好奇心だったのだ。
子供は残酷である。
今の子供が都会で育ち『いじめ』や『身の危険』を体験しながら大人になるように、ゆうちゃんは自然からそれを学んだ。
ある意味都会より危険かも知れない。なぜなら自然が牙を剥けば、死に直結するからだ。
残酷で楽しくスリリングで笑えるゆうちゃんの幼少時代。
あれは小学生3年生の夏休みの昼下がりだった。
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