月がちょうど満月だった。

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よかった、言えて。 こうやって言えるようになるまで、実はいろいろあった。 そうかもしれない、とわかったときから、結果がでて、それを言いだせるようになるまで。ほんとうにいろいろあった。 彼氏と何度も喧嘩し、一緒に戦おうという彼を憎み、愛し、でももうそれにさえ付き合っていけないほど、私はこの状況に疲労した。 こうなったのは、しようがなかった。 もう、綺麗なことばかり見ていられなかった。 家につき、そうか、もう私のうちには寄っていってもらうこともできないのか、と思い出し、涙がでそうになる。 それをふりきるように彼のほうを見ると彼はすでに泣いているところだった。 最近見慣れた彼の涙に少しうんざりする気持ちを押さえられない。 また止められたり、説得されたり、弱音を吐かれたりするのだろうか。 しかし彼は押し出すように 「またな」と言った。
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