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三人の紹介も終わり坪田が話しはじめる。
「というわけで、3人に仕事の内容を少しずつ教えてあげてください。お願いします」
『お願いしま~す』
最後の合図を聞き、みんなそれぞれの持ち場に移動して仕事を始める。
私も、いつもなら直行で自分の持ち場に移動して仕事を始めるのだけど、今日からは教える側になるので、色々準備をしなくてはならない。
舞ちゃんに教えてと頼まれた相手は、御崎和徳君19歳だった。1番若いのに凄く礼儀正しくて関心してしまう。
感心しながらも、私はなぜか初対面の御崎君が愛おしくてたまらなかった。
普通なら一目惚れって言うんだろうけど、それとは違う気がする。
心の中で何かがムズムズと動き出して、恋とか恋愛とかじゃないはずだけど愛おしい感覚に襲われていた。
「御崎君、今日はインシュロックっていう物を使って仕事をします。この仕事が1番簡単なんだけど手が痛くなるから手袋はめてするといいんよ」
御崎君に説明しながら、手の平に滑り止めが付いたイボイボの手袋を渡してあげる。
「ありがとうございます」
手袋を私から受け取ると、彼は嬉しそうに手袋をはめている。
その姿を見た瞬間、誰かの姿と重なって見えたような気がした。
結局は、そんな気がしただけで心当たりがある人なんて私の知り合いにはいない。
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