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私がのその桜色の不思議な空間に見惚れていると。 「桜の中だから」 後ろから桜並木の声がして、私の疑問に答えてくれる。 私はその言葉に 「桜の中、か」 小さく呟いてから、桜並木を見る。 桜並木は、自分の瞳と同じ色の空間を、不思議そうな顔で見ていた。 ――――と。 そこでやっと桜並木の言葉が脳に入ってきて、私は凍り付く。 「さ…桜の中っ?」 今まで桜を見たことはあるけど、その中に入るなんて…。 そうそう出来ることじゃない。 「桜並木…あなた、何者? ただの幽霊じゃないの?」 私は、これまでの人生の中で一番真剣な声を出した。 これは、一大事だ。 しかし桜並木はその真剣さにそぐわない、なんとも間抜けな顔をすると 「幽霊? …幽霊なんて言ってないけど」 少しだけ困ったように笑う。 「俺は…、桜の精。 桜に宿っている、桜の守り人」
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