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早朝。 桜並木の前に立っていた少年に、目を奪われた。 まだ誰も通らないような時間帯に空を見上げる、透き通るような綺麗な桜色の瞳。 その瞳に吸い込まれるように、私はふらりとその少年に近付いた。 「―――あなたは?」 そのまま、少年に声をかける。 何の捻りもない言葉。 だけど、昔から人見知りの激しい私にとっては、物凄い奇跡だった。 見知らぬ人に私から話しかけるなんて、きっと後にも先にもこれっきり。 でも、不思議と話しかけたという印象はない。 どちらかというと、独り言を呟いたという感じだった。 「…桜並木」 しかし、少年には聞こえていたのだろう。 どうやら、あなたは?の返事らしい。 少年は空を見上げながら、囁くようにして呟いた。
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