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私はその言葉に、相づちを返す。
そして、次の言葉を待った。
しかし。
暫く待ってみるけれども、空を見上げたまま 少年はそれ以上の言葉を話す気配はない。
「名前?」
しびれを切らした私は、もう一度少年に話しかけた。
それに、少年は小さく頷く。
でも、此方は向かない。
「桜並木…変わった名前」
私はそれを横目で見ながら、更に言葉を紡いでいく。
綺麗な桜色の瞳に、此方を見てもらいたかった。
しかし
「俺も…そう思う」
その願いも虚しく、少年───桜並木は、相変わらず空を見上げたまま呟く。
それに私はがっかりして、軽く肩を落とす。
「どうして、空を見上げるの?」
しかし次の瞬間には、私は桜並木に向かって、質問を投げ掛けた。
その質問に、桜並木は小さな声で答える。
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