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「行かないの?」
私は、ふと聞こえたその声を聞いた途端、ビクリと肩を震わせる。
やはりと言うか何と言おうか…
目の前に立っているのは、先程別れたばかりの桜並木だ。
どうやら、チャイムが鳴ったのに動こうともしない私を不審に思い、出てきたらしい。
「ゆっ…桜並木、…様」
「様?様はいらない。
ところで、学校…」
学校の方角を指差しながら、桜並木が困ったように言う。
その声が。
ふと、遠退いた。
ぐにゃりと景色が揺れて、目の前が真っ暗になる。
やば…そう思った時には既に手遅れで。
慌てたように伸ばされた手を黒くなる視界で見ながら。
私は、後ろにあった桜にもたれ掛かるようにして
―――倒れた
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