11人が本棚に入れています
本棚に追加
「る…春…大丈夫?」
「ん…ここ…」
私は、心配そうな桜並木の声に、意識を引き戻された。
辺りは、まだ目が霞んでいるのかぼんやりとしていて、はっきりと分かるのは 桜並木がいるということだけ。
「軽い貧血。
朝ごはん、食べてきた?」
その言葉に、私は無言でかぶりを振る。
この頃、朝ごはんは食べてきていない。
その声に、桜並木の眉根が微かにしかめられるのが分かる。
「寝て」
しかし次の瞬間、毛布だろうか、何か暖かいものをかけられた。
しかし、もうそこまで酷くはない。
先程まで霞んでいた視界は、段々とはっきりした形をとってきていた。
「もう、大丈夫」
私は桜並木の制止も止めて、ゆっくりと起き上がる。
最初のコメントを投稿しよう!