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暗い
暗い
暗い
暗い
『ごめんなさい』
暗い闇の中で聞こえた声に俺は静かに瞳をあけた。悲しそうな目をした愛しい女性(ヒト)が俺を見ている。彼女はひたすら謝る。俺は思考を巡らせた。
彼女の謝る意図がわからなかった。だって彼女は俺が守れなかった女性(ヒト)。ー華、ごめん。ー
俺は心の中で謝る。
不意に闇が真っ白になった。
わけがわからない。
華が俺を抱き締めた。
涙で濡れた頬。
不謹慎にも綺麗だと思った。
透き通るような白い肌
艶やかな長い黒髪
均整の取れたふっくらした唇
長い指
澄んだ水色の瞳
どれもが美しかった。
ーあぁ。華…俺が殺したんだ…ー
俺が殺した…
力のなさに落胆した。
彼女は俺の頬に手を添えるとそっとキスした。
『風我…好きよ…愛してる』
彼女が唇を離した瞬間視界が黒にかわった。
目の前で横たわるソレは真っ赤な血を流した華だった。
俺は愕然とした。
また俺は暗い暗い闇の中へと引きずり込まれた。
その中で見た後ろ姿
なんとなく華に似ている。俺はそのまま意識を手放した。
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