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僕は見慣れた部屋にいる。
目の前には
…………母さん?
“母さんなんで?母さんはもう……”
小さい頃に父さんは僕らを捨て、女手一つで僕を育ててくれた母さんは二年前に死んでしまった
ここにいるはずがない
母さんは、優しく笑って言った
“母さんがあんたに、言った言葉、覚えてるかい?”
ふいに母さんに握られた冷え切った僕の手は、母さんの温もりに包まれた
久しぶりに人の体温を感じた。
母さんはやっぱりあったかくて……大きかった……
“もちろんだよ!!母さんあのね“聞きなさい。”
母さんの口調が強くなる。
“あのことを、忘れるんじゃないわよ?”
自然と涙が零れる。
“いいのよ、それで”
久しぶりに見た母さんは
死ぬ間際に見た、やせ細った母さんじゃなくて、
まだ元気そうな母さんだった。
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