(1) 内乱と少年

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答えに男が戸惑っていると、少年は容赦なく銃を突き付ける。 「わ、わかった!言うから!」 「…どこ?」 「数日前まではここにいたんだけど、西の暴動を治めに行くとかで軍を率いて出て行ったんだ!」 「ならもうここにはいないんだな?」 「そう、その通りなんだ!」 ブンブンと首を振って肯定する。 なんだか傍から見ると、若干男の方がかわいそうにも見えてきた。少年を憐れんでいた周囲の視線が、今度は批難の視線に変わる。既に二人を殺しているから余計にだった。 男は依然として命乞いを続けていた。 「…チッ」 舌打ちの後、少年は銃を下ろした。男に背中を向け、遠ざかっていく。 「助けてくれた…のか?」 呟くも少年は止まらない。 男はホッと安堵の表情を覗かせた。 が、次の瞬間には嫌な笑みを戻していた。傍らに落ちている銃へと、音をたてず手を伸ばす。 「ありがたい。でも……甘いな!」 銃に手が触れた。同時に引き寄せ握ると引き金に指を置いた。そして素早く体を起こし、狙いを定める。 やはりこう素早い所が軍人だ。 しかし、上には上がいるということがセオリー。 「誰が甘いって?」 引かれる引き金。 先に硝煙をあげたのはライフル型の銃だった。だが、それは男の物ではない。 「助けてあげるなんて、一言も言ってないんだけど?」 血を流す男。 それを見下ろす少年。 少年の手には、先に死んだ男たちが持っていた銃。 「俺の銃、前の街から使ってたから弾がなくなってたんだ。だから舌打ちしただけ。お前を見逃そうなんて微塵も思ってない」 顔は笑っていた。でも、声色だけは変わらない。黒い殺気を常に覗かせている。 遂に男が息絶えた。 見届けてから、少年は何の迷いもなく男たちの懐を物色し始めた。 探していたのは先程から何度も出ている銃。しかも小型の物。ライフル型は破壊力・飛距離はあるものの、両手持ちで扱いにくいため諦めたようだった。 見つけたのは、それぞれからハンドガン一丁ずつと、補充弾も一つずつ。 ついでにホルスターも一つだけ拝借した。
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