(1) 内乱と少年

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***** 「でも、機械ってのは酷いな」 フィーネは一人愚痴った。 そこに先程までの黒さはない。歳相応の柔らかい表情。 ただ、服だけは未だ返り血に濡れていたが。 今は街の出口を目指してスタスタ歩いていく。 (これは全部俺の意志なのに) “殺戮機械”。 さっきまで生きていた男が、フィーネを見てそう言い畏れた。その通り、フィーネはそんな称号付きで呼ばれている。 フィーネ自体はそんな風に呼ばれようと何も思ってはいない。唯一クレームをつけるとしたら、『機械』という部分のようだ。本人いわく、機械には意志がないため嫌らしい。根本的に突っ込むところが違うのだが。 そんなことを考えながらも、順調に進む。 探している人物、ドーバがいないのならこの街に用はなかった。 あのあと、国王軍を壊滅状態にさせ、間接的とはいえ街を救ったフィーネ。だが、今は街の人たちにとってはフィーネが脅威だった。 事実、今すれ違う人はおらず、街の人はみな家の中に引きこもり中だ。 「まぁ、礼なんか求めてないし。逆にいないほうがありがたい」 クスリと無邪気に笑う。 「さて…今度は西か」 ドーバが向かったのは西だとあの男は言った。本当にそうだという確証はないが、行かないよりはマシだと思った。 「俺の名前もまだ売れてないみたいだし、あっちから出向いてきてくれるのはまだ先かな…」 フィーネが人を手にかける理由は二つ。 信用できない醜く腐った大人を殺すため。もう一つは、手配を受けてあちらから出向いてもらうため。 どちらも同じくらい重要。 (西…はクレスタか。その先にはジャルナ。多分、制圧に行ったのはジャルナの方だろうな) クレスタはとても小さな村。正直、そんな村を制圧したって何の利益もない。それよりか、栄えているジャルナを軍地にする方が有効だろう。 なにより、クレスタの田舎に反乱軍がいそうにない。 (次はクレスタを通ってジャルナか。…遠い) はぁ、と大きなため息をつく。
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