(1) 内乱と少年

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「俺、ここの人間じゃないんで」 少年はそう呟いて肩をすくめてみせた。 しかし、だからといって男たちも仕方ないと見逃すわけがない。今度は右側にいた少し細めな男が言う。 「禁止なことを知らなかったとでも言う気か?街の入り口に札をだしていたはずなんだがなぁ!」 言われて少年は記憶を探る。 すると、一つだけ浮かんできたものがあった。 「…あー、あのボロボロの札のこと?あれ、字が滲んでて何が書いてあるのか読めなかったんだけど?」 あくまで素直に事実を口にする。ただ、ボロボロだったため、その札を入り際に壊したことは伝えなかったが。 少年のその言葉に、男たちはますます激高する。 「だ、だいたい、ここら周辺は国王軍の支配下に入っているから、どこも銃所持を禁止してるはずだろう!」 「俺、この辺の生まれじゃないんで。ルークって北にある村なんだけど知ってる?そっから来たからこの辺全く知らないんだよね」 「――っ!」 ああ言えばこう言う。 そんな会話が淡々と続いた。しかし、お互い全く譲ろうとはしない。 少年は男たちの表情がどんどん変わっていくことが面白いようで、楽しそうな笑いを浮かべていた。 全ては事実。少年は嘘をついてはいない。だから余計に男たちにとっては分が悪く、少年は男たちの困っていく様子に笑顔を見せるのだった。 だが、何度目かのやり取りで、ようやく男たちは痺れを切らした。 真ん中の男がずいっと少年に歩み寄る。 「とにかく!この街では銃所持者を裁く決まりとなっているんだ!お前が何と言い訳しようと、これは変わらない!」 強行突破にでたな、と少年は呑気に構える。 しかし、少年自身も「はい、そーですか」と頷くつもりはさらさらなかった。この銃は自分を生かすためのもの。手放すなんて考えたこともなかった。 自分を捕まえようと伸びてきた手に気付き、少年は一歩後ずさる。 「どうしても、これを渡さないと駄目?」 「当たり前だ。規則は規則なんだからな」 「ふーん。なら聞くけど、おっさんたちのソレはどうなんだよ」 一定の距離を保ったまま少年は男たちの銃を指差す。 「街での銃所持が禁止なら、それも規則ってのに触れるんじゃない?」
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