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間違ってはいない考え。
だが、それを男たちは鼻で笑う。
「統治者は別だ。街の治安を守るために、俺たちは許されているんだよ」
「矛盾してるな。…てか、誰もお前らに治めてほしくないし」
「あ?何か言ったか!?」
「…別に」
小声の暴言がかすかに聞こえたのか男たちが眉間にシワをよせる。だが、少年はそれをしれっと流した。
その態度に、だんだんと男たちの顔に苛立ちが見え始める。
「とにかく、銃を渡して俺たちと一緒に来な!今なら痛い思いはしなくてすむんだ!」
「…どーだか」
小さく少年は笑い、肩をすくめる。
仕方なしと男が一歩前に出れば、少年も同じように一歩後ずさる。一定の距離からなかなか縮まらない。
そんなくだらないやり取りばかりを繰り返していたが、ついに男が動いた。
「いい加減、大人しくしやがれ!」
ベタな文句と共に男が大股で近づいてき、少年の右手を掴んだ。
あまりの強さで握ったため、少年は顔をしかめる。
「痛っ!」
そのまま引き寄せられる。
「さぁて、ついてきてもらおうか?これでも暇じゃないんだ」
「…暇じゃないって、なら何やってんの?でかい顔して街を歩き回ること?それとも、街の人を傷つけることか?」
くすくすと少年は笑う。
掴まれながらもその顔は余裕に満ちていた。恐怖を知らない無邪気な笑い。まるで遊んでいるかのように。
ただ、そこに恐ろしいくらいの殺気が見え隠れしていたことに、男たちは気付かなかった。
笑う少年が男たちのカンに障る。
「黙れ!お前には関係ない!」
「黙ってほしいと思ってるのはこっち。耳元でうるさい」
「――っ!このガキ!」
ついに男がキレた。
手に掴んでいる少年をそのまま持ち上げる。次の瞬間には、空いていた右の拳が少年の腹にヒットしていた。
流石に余裕だった表情が崩れ、苦痛に歪む。
少年は地面にドサリと落とされると、今度は蹴り上げられた。
「くっ!」
何度も暴行を受け、少年は苦しそうにうずくまる。
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