第1章 1

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side五月  季節は、もう春だというのに、まだ寒い日が続いていた。  私は、深海から浮かび上がってくる感覚を感じた。が、それは私の錯覚に過ぎない。  目を開ければかなり眩しい。  原因は、太陽光がカーテンの隙間から入って、私の顔を照らしているからだ。  眩しさから逃れるため、うつ伏せになり、枕下に置いてある携帯で時間を確認した。  時刻は、午前10時。かなり寝過ごしたみたいだ。  私は、おもむろにベッドから起き上がった。うーんと、背伸びをしベッドから立ち上がる。  ベッドの前にある冷蔵庫の中から飲料水のペットボトルを取り出し、一気に飲んだ。朝の渇きはかなり潤せたと思う。  カーテンを少し開けて外を見れば、街は既に動き出している。  私が住むマンションからは、大通りが見える。  すでに通勤通学ラッシュは過ぎて、静けさを取り戻していた。  私、田中五月は現役の高校生だ。  でも、ここまで寝過ごしては今更学校に行く気がおきないので、ズル休みをする事にした。  カーテンをきちんと閉め、飲料水を冷蔵庫に戻してから、携帯にメールが届いていた事を思い出して確認してみた。 まぁ、確認しなくても内容は分かりきっているけど…。
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