ある日のアイ

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「あら?」   今日も透の家でくつろいでいたアイの目に、透の元へ走って行くマナが見えた   (何かしらね~?)   「透、透ぅ~」   「何だマナ?」   ソファーで本を読んでいた透は、視線を上げて聞いた   「透の好きな人って、どんなタイプ?」   ぴくっっ!?   少し離れたテーブルから聞いていた、アイの耳が動く   しかし、少しの逡巡の後、溜め息を吐いた   (ダメなのよマナ…その質問は、アタシが何度もしたことがあるのよ…でも決まって答えは…)   「別に…ないな…」   「え~っ!?」   さもガッカリとして肩を落とすマナ   (ふふ…透は鈍感で、無愛想だからなぁ)   遠い目をするアイ   「そんな事言わずに教えてよぉ~。 透ぅ~」   「そんな事を聞かれてもな…」   「マナ、聞きたいんだよぅ ねぇ、良いでしょ? 可愛い人?優しい人?」   渋る透だが、マナは懸命に聞いた   (頑張るわね~)   マナの質問責めに、そこはかとなく耳をそばだてるアイ   (やれやれ)   溜め息を一つ吐いてから、透は口にした  「そうだな…」   (えっ!?嘘!?)   聞き耳をたてていたアイは、全神経を集中させて、透の次の一言を待つ                         「家庭的な人…かな?」
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