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カルテを書き終え振り返る
おじいちゃんと目が合った。
頭上の鳩時計が鳴き始める。
ﾎﾟｯﾎﾟｰ
「お待たせしました」
『いえ』
ﾎﾟｯﾎﾟｰ
「えぇとですね、その･･･」
『････』
ﾎﾟｯﾎﾟｰ
「まぁ･･･」
『････はい、』
ﾎﾟｯﾎﾟｰ
「診察は終わりました」
『はぁ････』
ﾎﾟｯﾎﾟｰ
「落ち着いて聞いていただきたい」
『････はい､』
ﾎﾟｯﾎﾟｰ
「貴方の余命はあと４８０秒、です」
『････』
･････････
「４８０秒」
『それは本当ですか？』
「私は医者です、なにを疑うのですか？」
『それでもあなたは人間です』
「そうです、人間は間違うものです」
『８分しか残されていないのに、なぜすぐに言ってくれなかったのです？』
「私は、貴方を心配しました」
『それでもあなたはもっと早くに、伝えるべきでした』
「貴方の３０秒と等しく、私の３０秒も過ぎました」
『私と貴方の３０秒は同等ではない』
「価値とは各人の中にあるものです。それを互いに侵してはいけません」
『主張をしたまでです』
「失礼、断定的に聞こえたもので」
『私は貴方の行為に罪を見出だしました』
「････それよりも、いいのですか？」
「今も過ぎているのですよ」
私は診療代を支払って、走り出した。
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