大仏騒動 (一)

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事の起こりは全くの偶然であった。 長州藩士が多く入京してきているとの情報を掴んだ新撰組は四条小橋の薪炭商である桝屋喜右衛門宅を六月五日早朝に捜索、捕縛した。 これも元々は尊攘派の実力者であり強硬論者であった宮部鼎蔵が潜伏していると見ての事である。 ここで大きな動きがあった 桝屋喜右衛門というのは商人を装った仮の名であり、その実は近江の志士・古高俊太郎である事が判明した。 それ故、内偵の末に捕縛された古高の拷問は壮絶な物となった…。 京都・壬生に今も残る旧前川邸の土蔵での事である。
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