大仏騒動 (一)

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開口一番怒声が飛び交った 場所は池田屋二階。 表の賑わいとは対照的に重苦しい気配が張り詰めていた 焦りである。 古高捕縛はそれだけの痛手であるのだ ともすれば、ここにいる全員の命運が尽きるかもしれない 故に焦りが隠せずにいるのだ 古高は宮部鼎蔵との繋がりだけでなく武器、具足を揃える役割も担っていた それを見られての捕縛であろう つまり何かしら「事」を起こすのは見通されてしまったと考えるべきである 何処まで相手方に情報が漏れてしまっているのか? 決行を早めるべきではないのか? 不安と焦りから運ばれてきた酒が進むのも早くなる 宵の口には既に足元が覚束ない者もでてきていた。
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